裏切りの恋
「あたしはないですっ……城崎さんと話すことなんか……」
「俺にはある」
「あたしはっ……」
「どうして急に店を辞めることにしたんだ?」
いつまでも埒があかないと思ったのか、城崎さんは質問を投げつけた。
「だから卒論が……」
「辞めなくてもいいことだろ?シフトを減らすとかだってできたはずだ」
「……」
城崎さんの言っていることは正論。
だけどあたしには、それじゃあ意味がない。
「店のサブマネージャーとして聞く。
本当に辞める理由はなんだ?」
そんなふうに聞かれたら、余計にみじめだ。
まるで私情では関係ないと言われているみたいで……。
「ほっといてください!」
「ほっとけるか!!」
この場にいるのが嫌で、走り去ろうとしたら
足が思わず止まってしまうほどの声で、城崎さんに引き留められてしまった。