裏切りの恋
「ひろ…と……」
「ヒロ……」
目の前には、乱れた服のあたし。
すぐに裕翔のもとへ駆け寄りたいのに、恐怖で体が動けない。
そんなあたしをいいように、明はぐっと自分のほうへ引き寄せた。
「何、ヒロ。いいとこなんだから邪魔しないでくれない?
俺たち、今まさに愛し合ってるところなんだから」
「ちっ……」
「違う」と叫びたかったのに、顔をぐっと明の胸に押し付けられ、それが許されなかった。
「愛し…合う……?」
「そー。当たり前だろ?俺と夕菜は付き合ってるんだから」
さも自分は、あたしと裕翔の関係を知らないといったような口ぶりで話を進める明。
きっと裕翔の人の良さを利用しようとしてる。
違う…
違うんだよっ……
あたしが好きなのは……
「だったら、なんで夕菜がそんな顔してるんだよっ!!」
そう叫ぶと同時に、あたしは裕翔のもとへ引き寄せられた。