裏切りの恋
明から何もアクションがないことで、あたしは自分が最低な女であることを忘れかけていた。
本当はまだ何も解決なんかしてないのに……。
「はい。城崎です」
ベッドでゴロゴロしているとき、裕翔の携帯が鳴った。
どうやら相手は、会社の人っぽい。
あたしは悪戯心が働いて、裕翔の体をツンツンしてみた。
それに反応して、迷惑そうにあたしの頭を押しのける。
「え?!……ちょっと確認してみます!」
だけど、裕翔の表情が変わった。
真剣な声で応対すると、電話をそのまま切る。
「悪い、夕菜。今から本社に行く」
「え?何かあったの?」
「ちょっと昨日受注したはずの資料が、相手に届いてないらしいんだ」
そう話しながら、スーツに着替えていく裕翔。
不謹慎ながらも、話を聞きながら、その姿に見とれていた。