裏切りの恋
 
ピッ、ピッ、という電子音がする病室で、あたしはただ座り続けていた。

裕翔には、「用事を思い出したから家に帰る」とだけ伝えておいた。


もうすぐ面会時間が終わる。
その時だった。


「………ん…」


ピクリと明の指が動く。


「明!!」

「……ゆぅ……な……」


思わず叫ぶと、その声に反応して、明が目を覚ました。


「ゆうな……本物だ……」


あたしの姿を見て、微笑む明。

その顔を見て、泣きそうになった。
 
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