裏切りの恋
「今日、病院から電話が来て…。
明があたしの名前をうわ言のようにつぶやいていたんだって。
それで身元を確かめるために、あたしへと連絡が来たんだ」
「……明は?」
「命に別状があるものではないから大丈夫。
骨折とかもしてないし、1週間くらいで退院できるって」
「……そうか…」
後ろから、少しだけ安堵のため息をもらした裕翔。
やっぱり、心配だよね……。
だけど、事故が故意のものだったかもしれない、ということは言えなかった。
まだ「もしかしたら」というくらいなので、確証はないっていうこともあったし。
「……あのね…、
それで明日も、ちょっとだけ様子を見に行こうと思ってるんだけど……ダメかな…」
「……一人でか?」
「うん……。さすがに、入院している手前で、あたしと裕翔が二人でいるのを見せつけるのは、よくないと思う」
「……」
裕翔は、あたしの言いたいことは分かっているものの、複雑そうな顔をしていた。