裏切りの恋
「明、調子はどう?」
「ああ。だいぶいいよ。病院内だったら、ゆっくりだけど歩いて移動できるし」
「なら、よかった」
明の顔色も昨日と比べてだいぶ良くなっていて、その表情に安心した。
傷も痛々しいけど、それもしばらくすれば治るという。
「夕菜ちゃん、ちょっといいかしら」
「あ、はい」
しばらく病室で話していると、おばさんがあたしを誘って病室を出た。
「……あのね…」
ロビーに出て、誰も座っていないベンチに腰をかけた。
おばさんは真剣な表情で話し出す。
「先生から聞いたの。今回の事故のこと……。そして明の手首のこと……」
「……」
「ごめんなさいね。こんな重い話…。
先生が、夕菜ちゃんにも話したって聞いたから……」
「……はい…」
覚悟はしてた。
だけどどう切り返したらいいのか分からなかった。