裏切りの恋
あのあと、あたしはもう一度明のいる病室に顔を出して、しばらく話した後帰ることにした。
せっかく地方から両親が見えているんだったら、邪魔したくないと思ったからだ。
だけど本当は
あの親子の前にいたくなかったからかもしれない……。
(どうか…明のことをよろしくお願いします)
あの時、おばさんの瞳があまりにも真剣で……
いや、真剣というよりも、すがるような瞳で……
あたしは否定することが出来なかった。
「はい」と言わざるを得なかった。
たぶん、おばさんは気づいていたんだ。
あたしと明が別れたことを……。
そして明が、それを理由でこんなことをしたということを……。
「どうすればいいの……」
あたしに、明を救う資格なんて、あるのだろうか……。