裏切りの恋
「どうぞ」
「さんきゅ」
2つ分のコーヒーをいれて、テーブルの前に座った。
本来ならあたしがお客様だけど、まだ退院したばかりの明を動かすわけにもいかず、あたしがコーヒーを入れる。
だけどついこの間まで、この部屋で生活することも多かったので、あまり違和感はなかった。
見慣れたお揃いのマグカップ。
あたしが一目惚れして、明とお揃いで買った。
マグカップだけじゃなく、いろいろなものが2つずつ置いてある。
今はもう……皮肉にしか見えない……。
「ごめんね、結局全然お見舞いに行けなくて……」
「いや、仕方ないよ。……来づらかったんだろ?」
「そういう…わけじゃ……」
言葉に詰まっていると、明はふっと笑った。
そして「気にすんな」と続けた。