裏切りの恋
「……あのね、どうしても聞きたいことがあるの……」
あたしは膝の上でぎゅっと手のひらを握ると、明を見つめた。
「事故のこと……なんだけど……」
「……ああ…」
明は、あたしが言いたいことが分かったようで、一度間を開けると言葉を発した。
「……飛び出した……わざと…」
それは、当たってほしくない答えだった。
「このことも聞いたんだろ?」
そう言って、明はおもむろに袖をまくる。
見せた手首には……
「あ……」
まだ少し、生々しい傷跡が残っていた。