裏切りの恋
「なん……で……」
自ら命を絶とうとする明に、体がふるふると震えた。
怒りではなく、悲しさで……。
だけどそんなあたしに、明は静かに言葉を吐く。
「なんで?……よくお前がそんなこと言えるよな……」
それはナイフのような、鋭い言葉だった。
「俺にはお前がすべてだったのに……。
兄貴に好きなやつ奪われて、もう恋なんかしないって決めてたのに、そのネジを外したのはお前だろ?
それなのに……」
くしゃっと前髪をかき分ける。
明の顔は、苦しげで、切なげで……
「どうして俺を捨てたりしたんだよ!!」
今さら思い知らされる。
自分が犯した罪を……。