裏切りの恋
「ただいま」
「おかえりなさい」
いつものように、夕ご飯の支度をして
テーブルの上に並び終えるころに裕翔が帰宅した。
新婚のように、あたしは裕翔を迎え入れると
ちゅっと口にキスをする。
「ったく…相変わらず犬だな」
「もー…またそんな言い方する……」
裕翔はあたしの頭をぽんと軽く叩くと、スーツを脱いだ。
「今日もまたうまそうだな」
「でしょ?料理作るの楽しくなっちゃって」
「そうか」
張り切って笑うあたしに、裕翔も優しく微笑んだ。
何気ないその笑顔で、今にも泣きそうになる……。
食べ終わって、お互いにシャワーを浴びて
缶ビールを片手にソファーに座る。
いつもと変わらない
最後の夜。