裏切りの恋
目を覚ました時には、
まだ明け方だった。
カーテンの隙間から、うっすらと朝日が差し込んでいる。
早起きの鳥の声が聞こえた。
上半身だけ起き上がって
隣で眠る裕翔を見る。
規則正しい寝息をたてて、眠る裕翔。
そんな裕翔の寝顔を見て
涙がこみ上げた。
「……うっ……ひっく……」
大好きだった。
愛おしかった。
初めてこんなにも、理性を失うほど人を好きになった。
大切な人を傷つけてまでも、選んだはずの人。
だけどあたしはいつも中途半端。
あたしにはやっぱり
明を見捨てることはできない。
「………バイバイ…」
あたしは裕翔の部屋を出た。
合鍵と一枚の手紙をテーブルの上に置いて……。