裏切りの恋
 
「ごめんな……。俺がそうさせてるんだよな」


見上げた先に映る明は、あたしの知っているあの頃と変わっていない。

変わってしまったのは、あたしの気持ちだけ。


どうか戻れるなら
裕翔を知らないあの頃の自分に戻りたい。


「夕菜……」


明は頭を撫でていた手を、ゆっくりあたしの頬におろす。

その手は優しくて温かくて、涙が溢れてきそうだった。


「俺が絶対に幸せにするから」

「あき……」


ようやく発することが出来た言葉は、

明の唇によってさえぎられてしまった。
 
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