裏切りの恋
「よっ…」
「はっ…」
黙々と、ボールを投げていくあたしたち。
途中で明が話しかけてきた。
「真剣だね。夕菜ちゃん」
「……」
「ようやく、仮面が取れた夕菜を見れた…」
「…っ」
その言葉を聞いた瞬間、
連続ゴールできていたシュートが、動揺して外れた。
「何言って……」
「見てれば分かるよ」
明は一度微笑みかけると、再びゴールネットへと視線を戻した。
バレていないと思ってた。
ずっと普通に接して、笑うところではちゃんと笑って
頭の中で裕翔と言う存在を打ち消してきたはずだから。
だけど明には、最初からバレていた。
ピピー!と鳴る。
その音とともに、ネットがしまり、ボールが渡されなくなった。