裏切りの恋
 
「その手っ……」
「手?あー……」


明の左手首は、見てわかるほど大きく腫れ上がっていた。
あたしは慌てて、明の手を取る。


「実はまだ捻挫が治ってなかったりして」
「えっ!?」


悪戯に微笑む明に、あたしは大声をあげる。


「何やってんの!バカ!!」


そしてすぐに水道を探すと、ハンカチを濡らして明の手首を冷やした。


「捻挫なんかしてるのに、なんでこんなゲームなんか……」
「夕菜の本当の顔……見たかったから」
「え?」
「ずっと仮面かぶって、笑いたくないのに笑って……。
 どうやれば、夕菜の素が出るかなって思ったら、これしか見当たらなかった」
「だからって……」


明は本当にバカだ。

あたしのことになると、自分の状況も忘れる。
こんなになるまで……。


「それで?
 夕菜の俺への言うことは?」

「そんなの無効だよ!!」


あたしは思わず叫んだ。
  
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