裏切りの恋
 
「俺はな…
 たとえば映画……。夕菜と一緒に見に行って、一緒に感動したり笑ったり……。
 たとえば遊園地……。一緒に叫んで、一緒においしいもの食べて……。
 たとえば家……。なんでもないことを、ただ隣で一緒に過ごして……。

 そんな毎日。
 気づいたらおじいちゃん、おばあちゃんなんかになってたりしてさ。

 そういうのでいいんだよ。
 ただ夕菜が隣にいる。それだけを望んでるんだ」


「あき…ら……」


それはとてもささやかなことで、とても当たり前のことで……


「だからそんなふうに、夕菜も俺に対して思ってくれる日を待ってる」

「……っ…」


あたしはその言葉を聞いて、涙をこぼすことしか出来なかった。



明が望んでいること、
あたしもいつも思ってた。

特別なことなんていらない。
記念日とかもこだわらない。


ただこの先ずっと
貴方の隣にいるのがあたしでありますように……って。



裕翔に出逢う前までは……。
 
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