裏切りの恋
明の優しさが変わっていないことが苦しかった。
もしも明が
あの時見せた、怖い明のままでいてくれたなら
あたしは明を振り切って、裕翔の元へ行けた。
だけど明の優しさは、昔と何も変わっていなくて
どれだけ自分を愛してくれているかを思い知らされる。
そんな明を見捨てて
あたし一人、別の人のところへ行くなんて出来ない。
1年後…
5年後…
10年後……
いつか裕翔への想いを断ち切ることはできるだろうか……。
「……初めて一人で来ちゃった…」
あたしは一人、水族館の前にいた。