裏切りの恋
光を放ちながら、ふよふよと泳ぐクラゲ。
自然と水槽に手がいき、あたしはそれを撫でた。
(俺は……誰かに照らしてもらいたかったわけじゃない。
一緒に生きる意味を教えてもらいたかっただけなんだ)
裕翔に言われた言葉。
あの日、初めて裕翔の抱えていた悲しみを知った。
両親を亡くす悲しみ。
それを支えてきた香織さんと明。
だけど彼は、同情なんかいらなかった。
(お前が……
明の彼女じゃなければ……)
そう。
あたしが明の彼女じゃなければ
あたしたちには、なんの壁も隔たりもなかった。