裏切りの恋
「まさか…な。こんなふうになるとは……」
「あき……」
「首輪でもつけて、部屋から出られないようにしとけばよかった」
それは、いつしか見たあの時の怖い顔の明になっていた。
でも逃げちゃいけない。
ちゃんと話して、納得してもらわないと……。
「明、聞いて……?
あたしやっぱり……」
「裕翔が好き、だろ。
そんなこと言いに、わざわざ二人で来たのかよ」
明はあざ笑うかのようにあたしと裕翔の二人を見る。
そしてすぐに悲しそうに笑った。
「夕菜はもう、俺のことなんかどうでもいいんだろ?」
「違う!そうじゃない!!どうでもいいなんて思ってないよっ」
「じゃあ、なんで俺の傍からいなくなるの?分かってて、ヒロのところへ行くんだろ」
「そうじゃなくてっ……」
もう自分の気持ちに嘘はつけない。
だけどそれは、決して明がどうなろうと関係ない、という意味なんかじゃなくて……。
「なあ、ヒロ。
夕菜はずっとお前のことが好きだったよ。
それなのに、どうして俺を選んだか分かるか?」
明は、矛先を裕翔へと変えた。