裏切りの恋

「お前なんなんだよ!?
 なんで俺に何も言わねぇの?夕菜を好きになったって……。
 何も言わずに奪うなんて卑怯なんだよっ!!」

「ぐっ……」


明は裕翔を殴った。

ガシャンと音を立てて、裕翔が壁に打ち付けられる。


「裕翔!!」

「来るなっ…」


あたしは思わず駆け寄ろうとした。
だけど裕翔がそれを止める。


「そうやって夕菜の前でだけカッコつけて……
 大事なことっ……俺には何も言わないでっ……」

「…っ…っく…」


明は倒れた裕翔につかみかかって、何度も何度も殴る。

裕翔は何も抵抗しなかった。
ただずっと、明に殴られている。


「明っ…もうやめてっ……。
 裕翔が死んじゃうよっ……」


そんなあたしの言葉を聞かず、明は思い切り腕を振り上げた。

そして……ガンッ!!という大きな音が鳴り響いた。
 
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