裏切りの恋
思わずつぶってしまった目を、おそるおそる開けた。
そこに映ったのは、裕翔を殴った明ではなく……
「……っく…」
壁を思い切り殴った明だった。
「あき…ら……」
「なんでだよっ……」
見ると、明の目からは大粒の涙が零れ落ちていた。
裕翔も驚いたように見上げている。
「悪い、って…。俺も夕菜のこと好きになった、って……。
一言言ってくれなきゃ……
俺はお前を許すことも出来ねぇよっ……」
「明……」
ようやく分かった。
自分たちが間違っていたこと……。
明が一番言いたかったこと。
あたしたちは、明を傷つけたくないと言いながら
本当は自分たちを守っていただけだったんだ……。