裏切りの恋

「あき…らっ……」


その言葉を聞いて、ポロポロと涙が溢れ出てきた。


明の言葉があまりにも切なくて
明の笑顔があまりにも悲しくて


自分のふがいなさと情けなさに泣けてきた。


「……ったくよ…
 それなのにその本人は、全然自分から俺のところに来ねぇし。
 このままだと、本当に夕菜のこともらっちゃうよ?って思った。
 あげく昨日、夕菜は俺に迫ってくるしよ」

「そ、それは今言わないでっ!」

「迫る?」


裕翔の顔つきが、ちょっとだけ変わった。

明は少しだけ面白そうに笑うと、もう一度裕翔のもとへしゃがみこんだ。


「ほんとに…不器用なやつだよな…。
お前も……俺も……」
「明……」

「あーあ。せっかくのイイ男が台無しだな。
 ざまーみろ」

「……うるせ」


裕翔はバツが悪そうに一度目を逸らすと、再び明を見上げた。
 
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