裏切りの恋
「それじゃあ…ね」
背中を向けている明に、最後の挨拶を交わす。
明は振り向かない。
あたしたちは仕方なしに、玄関へと向かった。
部屋を出る瞬間、明が言葉を発した。
「お前は俺の一番の親友だよ。一生」
驚いて振り返る。
裕翔も同じように明を見ていた。
明は相変わらず背中を向けていて、あたしたちを見ない。
だけどその理由が分かった。
明の足もとに落ちる、数滴のしずく……。
「夕菜は……俺の親友の彼女。
だから俺にとっても大事な子だよ」
「あき…らっ……」
せっかく止まったはずの涙が、再び零れ落ちた。
明は……
あたしたちにとって、一番守りたい人だ。