裏切りの恋
 
「今日からまた仕事だよね」
「ああ。お前はどうするんだ?」
「もちろん家に帰るよ。金曜までお泊りは禁止」


そこはやっぱり守らないといけない。

外泊続きになれば、裕翔の印象が悪くなるだけだから。


「1週間……またさみしいね」
「あんだけしたのに、まだ足りないのか?」
「そうじゃなくてっ……」


一人顔を赤くさせてむきになっていると、裕翔は面白そうに笑っていた。


「あたし……絶対に裕翔に勝てない気がする…」
「当たり前だ」
「……でも好きな気持ちはあたしのが上だもん」
「もう一度、体に刻み込んでやろうか」
「……」


駄目だ…。
やっぱりこの人には勝てない……。


「お前、卒業しても、職場には実家から通うのか?」


一人ぶつぶつ文句を垂れてると、裕翔はさっさと別の話題を持ちかけてきた。


「え?まあ…最初はそのつもりだけど……。
 でもやっぱり、そのうち出たいかなーとは思ってる」


確かに実家にいれば楽だ。

だけど、だからといってずっと実家に甘えているのも嫌だった。



「なら……一緒に住むか?」



それは、突然の誘いだった。
  
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