裏切りの恋
待ち合わせ時間の9時を過ぎたところで、あたしは大好きな人影を見つけた。
黒のジャケットに、下はデニム。
めずらしく、今日はスーツじゃないらしい。
だけど、カジュアルだけどスタイリッシュに決まっていて、今さらだけどそんな裕翔に少し見惚れていた。
って、こんなことしてないで……
あたしは裕翔に一秒でも早く会いたくて、歩道橋を降りようと思った。
そのとき……
「!!」
グイッと後ろから腕を掴まれる。
驚いて振り返ると……
「こんばんは、夕菜ちゃん」
「香織…さん……!」
そこには、怖いくらいの笑顔の香織さんがいた。