裏切りの恋
途中まで明に支えてもらいながら、あたしは屋上の扉の前まで来た。
もう夕ご飯の時間のせいか、屋上には彼以外誰もいない。
彼はフェンス越しから見える外の景色を眺めていた。
なんだろう…。
彼の背中を見ていると、胸がきゅっと熱くなる。
吸い寄せられるような…
抱きつきたくなるような……
体が勝手に彼のもとへ行ってしまう。
「……あ…の……」
あたしは平常心をたもって、おそるおそる彼に声をかけた。
彼は驚いて振り返る。
「………大丈夫なのか?こんなとこまで来て……」
「あ……はい……」
彼に声をかけられて、どんな態度をとればいいのか迷った。
敬語?
タメ語?
その前に、彼の名前は?年は?
知りたいことがいっぱいあった。
そのことを察して、彼が口を開く。