裏切りの恋
「城崎裕翔」
「え?」
「俺の名前だ」
「……城…崎…さん」
「……なつかしいな」
名前を呼んでみると、城崎さんは笑った。
あたしにはどうして笑ったのか分からない。
「呼び名。付き合う前の呼び方だ」
「あ……」
その声には、やっぱり悲しさが入り混じっていた。
そうさせているのは……あたし……。
「いつから……ですか…?
あたしと城崎さんが付き合ったのは……」
いろいろ知りたかった。
あたしと彼のことを。
たくさん知って、早く思い出したかった。
「1週間前」
「え?」
あまりの日の短さに、あたしは拍子抜けしてしまった。