裏切りの恋

「……え…?」


突然の言葉に、明が驚いて振り返る。
あたしは明を見つめた。


「明が好き……。
 あたしは明が好きなの……」


明を好きと思っていないと、心が壊れそうだった。
あたしの知らない半年の想いを、受け入れるのが怖かった。


「あ…きらぁ……お願いっ……。
 半年前に戻ってよぉ……」


ポロポロと零れ落ちる涙。

なくした記憶を、本当になかったことにしてしまいたい。


「好きっ……
 あきら……」

「夕菜っ……」


明はあたしを抱きしめた。


強く……

壊れるほど……


それは今まで、ずっと我慢していたものが爆発したように……。
 
 
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