裏切りの恋

「お…まえっ……」


ドカッ!と鈍い音とともに、明の体がベッドから振り落とされた。

あたしは目の前にいる城崎さんに信じられなくて、声も出ない。


「いってー……」


明は殴られた頬を抑えながら、苦笑して起き上がった。


「本気殴りかよっ……。
 ったく、お前が来るの遅いから悪いんだろ?」

「だからってっ……。
 冗談がすぎるだろ!!」

「半分本気だからな」


明の言葉に、裕翔が黙った。
あたしだけ意味が分かっていなくて、二人のやりとりをただ眺めていた。


「ヒロのこと、呼んだのは俺だよ」

「え……?」


明は一人ワケが分かっていないあたしを見ると、説明をしてくれた。


「夕菜が俺の家に来るってなったとき、早く迎えに来ないといただいちゃうよ、ってメール入れといたの」

「それで、本当にここまで手を出すやつがいるかっ」

「だって夕菜が可愛すぎるから」


それでもちゃんと理解出来なくて、あたしはどうしたらいいのか分からなかった。
 
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