裏切りの恋
 
「裕翔……」


ベッドで横になりながら、あたしは彼の名前を呼んだ。


もう、下の名前で呼ぶことに抵抗はない。

だって……



「今度のお休みに……外でディナー食べようね」

「……え?」



急なあたしの提案に、目を丸くする裕翔。
あたしは笑って、話を続けた。


「今度は歩道橋の下で待ってるから」

「…夕菜……記憶……」

「うん……。全部思い出したよ」

「……」


裕翔は、黙ってあたしを抱き寄せた。

その肩は、少しだけ震えているような気がして……


「もしかして泣いてる?」

「んなわけねぇだろ」


きっと、一生懸命堪えているんだなって分かった。
 
 
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