裏切りの恋
「裕翔とひとつになって……全部思い出された。
それでね、なんか分かっちゃった。
あたしに記憶がなくなっても、絶対にまたあたしは裕翔に恋するんだろうな…って」
あたしは裕翔を見上げた。
「だってあたしは、裕翔に本能で恋をしたから……。
だから頭で覚えてることとか関係ない。記憶なんて二の次なんだよ」
たとえ、好きだという気持ちを忘れても、
体で彼を求めていた。
心が勝手に惹かれてた。
「言葉とか……証明できる想いとか……そんなのいらない。
ただ、お互いを求め合えればいい……」
「夕菜……」
裕翔の手をとって、そっと口づける。
人が誰かにおちるのに、理由なんていらないと初めて知った。
「でも今だけは、言葉に出して言いたい」
そしてもう一度彼を見上げると、
この世界にある、最大限の言葉を口にした。
「愛してる」