裏切りの恋
《早く一緒に住みてーなー》
「うん…そうだね」
あたしが明の家へ泊まりに行けるのは、だいたい週末のみ。
特別家が厳しいわけではないけど、学生のうちの同棲は禁止されているので、結婚を前提に付き合っているからこそ、半同棲とかにならないよう心掛けているのだ。
明的にも、やっぱりあたしの両親によく思われたいみたい。
《あ、そうだ!明日、夕菜ってクローズの時間までの日だよな?》
「うん、そうだよー」
《明日、たぶん俺、早く終わるから、また店まで迎えに行くわ》
「ほんと?」
《ああ。だから明日は、メシ食ってから帰ろうぜ》
「うん!」
あたしたちはそう約束したあと、少しだけ世間話をして電話を切った。