裏切りの恋
「じゃあ改めて紹介すると、ヒロは俺の高校の時の同級生。大学は地方の大学行ってたから、あまり会うことがなくてさ。
だけど社会人になってからこっちに戻ってきて…。ほら!俺との会話で、「ヒロ」って出てきてただろ?
それがお前の上司にあたる、城崎裕翔なわけ」
明の説明が、ゆっくりゆっくりとあたしの頭の中に入ってきた。
確かに、明の口から「ヒロ」という友人がいるのはよく聞かされていた。
たぶん一番仲がいいんじゃないかと思わせるくらい、たくさん…。
でもまさか、明の言う「ヒロ」が「裕翔」だなんて思わないよ……。
「んで、こっちが俺の彼女の杉沢夕菜。大学3年の時から付き合ってる。ヒロにもちょいちょい話したことあるよな?」
「ああ」
裕翔は、低い声で一度うなずいた。
きっと裕翔も、同じ気持ちだ。
話には聞いたことあるけど、まさかお互いがお互いだと思っていなかった。