裏切りの恋
7章 封印
好きだと気付いた瞬間
あたしは失恋をした。
裕翔には香織さんがいる。
もう10年も付き合っている彼女。
そこにあたしが入る隙間はない。
(運命って信じますか?)
(俺の彼女も、運命の赤い糸とか口癖で、あいつといたら、そんなのも悪くねぇな……って思ってた)
運命の話をしたあたちたち。
あたしたちは、特段運命というものを信じているわけではなかったけど、
お互いの相手が運命とかそういったものを強く信じている。
そしてその人といれば、運命というものはあるかもしれない、と思うようになった。
だけど……
(きっとそれは、今まで自分が出逢った人たちの中で……ってことだと思う。
この先出逢う人は含まれていない。もしかしたら、あいつ以上の人が、この世界にいるかもしれない)
ほんと…
そうだね。
あたしはずっと、明にしか目を向けていなかっただけなんだ。