紅炎と雷炎 ①
陽「それ以上言ったら、美樹ちゃんでも、容赦はしない!」
陽の顔は怒りに満ちていた。
美樹「……何で? こんな弱い総長なんだぜ?
こんなんだったら、陽が総長になった方がましなんじゃないか?」
そう言うと、さっきより何倍もの怒りを込めた顔つきになった。
陽「なんだと…?」
美樹「だってそうだろ? 弱いやつは総長やってちゃいけねぇんだから」
あたしが鼻で笑いながら、そう言うと、陽があたしの胸ぐらを掴んだ。
美樹「なんだよ」
陽「それ以上言ったら、許さない。 美樹ちゃんに陣の何が分かるんだ。 陣が弱い? あり得ないんだよ! 陣は強いんだ。 ここに入って間もないやつに、陣のこと、とやかく言う、権利なんてねぇんだよ!」
…………ほらな
美樹「………ふっ、あは、あはははははっ!」
陽「何が可笑しいんだ!」
美樹「嘘だよ」
陽「は?」
あたしの胸ぐらを掴んでる力が弱くなったから、その隙に手から抜け出した。
美樹「なぁ、陣。 これでも、お前は自分はダメ、こいつらに何もしてやれないと思うのか?」
みんな、あたしが笑ったことに驚いたのか、固まってる。
美樹「今、あたしは陣のこと、わざと、悪く言った、その時のこいつらの顔見たか? めちゃくちゃ怒ってたぞ? どうでもいいやつが悪く言われてたらあそこまで、怒らないだろ。
…もう、分かるよな?
お前は、ダメなやつなんかじゃないんだよ。
こいつらには、お前がいなきゃダメなんだよ」
あたしがそう言うと、陣はコクンと頷いた。
美樹「よし! みんな、ゴメンね。 わざとでも、みんなを不愉快にさせちゃって…
でも、あたしは、どんな手をつかっても分からしてやりたかった。
だから、謝りはするけど、後悔はしてない」
陽「………美樹ちゃん」
美樹「ん?」