紅炎と雷炎 ①


翔「ねぇ…」


部屋に入り、落ち着いたところで翔に話かけられた。


美樹「どうした?」


翔「さっきの『仲間にはとことん尽くすタイプ』って本当?」


美樹「本当だよ」


翔「とことんってどんくらい?」


結構突っかかってくるな~。


でも、今回は面倒くさいとは思わなかった。


どっちかと言うと、しっかり答えなきゃって思った。


美樹「まず、裏切ることは絶対しない。 そして、危険なことが起こると友達に『自分をもっと大切にしろ!』って怒られるくらい、仲間の方を優先させちゃうくらい……かな?」


あたしはわざと晃の方を向いて言った。


晃「…っんだよ! こっち見んじゃねぇ!」


キレてきたけどね。


翔「ふ~ん…裏切らない、か…。 だって、千尋」


千尋「な、なんで俺に振るんだよ! 関係ないだろ!」


翔「いや…なんか、俺。 こいつって普通の女とは違うと思うんだよな~」


…ま、実際、普通の女じゃないからね…。


世界トップの族の総長だったしな~。


陣「どういう意味だ?」


翔「ん~、だって、今まで俺らに近寄ってきた女って、厚化粧で俺らに気に入られるように、自分をアピールしてくるような奴ばっかだっただろ?」


うえ~。


ありえない! 気持ち悪すぎる…。


翔「…でも、こいつは今俺らと一緒にいて、こんなチャンス滅多にない。 それなのに、アピールしてこようとしてねぇじゃん?」


陣「確かに…。 何でだ?」


こいつら…バカ?


美樹「何で、あたしがそんなことしなくちゃいけないの? あたし、別にあんたたちに媚売ってまで仲良くなりたくないし。 媚売って、手に入れた仲間なんて持ちたくない」


あたしは、それが当然だと思ってる。


だって…





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