抹茶モンブラン
「はじめまして。乙川です」

ぎこちない挨拶の後、私の持参したワインの他にもシャンパンなんかが振舞われていて、私は流れに任せてそれらを少しずつ口にした。
高田さんの作った料理がバイキング形式で自由に食べられるようになっていて、綺麗な色合いを残しながらの秋をイメージさせる料理が並んでいた。

「本当にすごいですね。シェフも出来るんじゃないですか」

そう言いたくなるほどの腕前で、私は遠慮なく彼の料理をどんどん食べた。

「そう言ってもらえると本当に作り甲斐がありますよ。こんな風に他人に喜んで食べてもらえると思うと、ますます料理研究に熱が入ったりするんです」

高田さんもワインでほろ酔いになっているみたいで、いつもより頬を赤くして私が孤独にならないように何かと声をかけてくれた。

食前酒程度にするつもりだったワイン。
……気付くと、私はシャンパンも含めて軽く3杯は飲んでいる状態だった。
最初はほろ酔いだった程度の感覚も、時間が経つに連れて目の前がグラグラしてきた。
薬の効果が強烈に利き始めていて、軽く吐き気さえ出てしまっていた。
< 101 / 234 >

この作品をシェア

pagetop