抹茶モンブラン
「あの堅物堤さんが笑顔で写真に写ってるなんて、めずらしいわよね」
そんな事を誰かが耳元で言っていた。
私はその写真から目が離せなくて、しばらく二人の向かい合って笑顔になっている写真をじっと見てしまった。
他の写真は、施設の写真や機械の詳細部分を写した資料で、人物が写ってるのはそれ1枚ぐらいだった。
私はそれらを事務の方に返して、心臓がバクバクするのを抑えて事務室を出た。
見てはいけないものを見てしまった。
見なければ不安になったりはしなくて済むと思っていたのに、ああいうのを見ると自然に不安がこみ上げる。
「あ、乙川さん」
廊下で向かいから歩いて来た光一さんが私に声をかける。
長期海外出張から帰った彼は明らかに痩せていて、日々の生活がとてもつらいんだというのは分かっていた。
「はい、どうしました?」
「ちょっとワークステーションが不安定だから、しばらく触らないでくれる?他にやる仕事なかったら、今日は帰っていいから」
「……そうですか。分かりました」
あまりにも事務的でそっけない内容の話しだった。
社内では当然こういう会話になるんだけど、週末も会えない日々が続いていた。
そんな事を誰かが耳元で言っていた。
私はその写真から目が離せなくて、しばらく二人の向かい合って笑顔になっている写真をじっと見てしまった。
他の写真は、施設の写真や機械の詳細部分を写した資料で、人物が写ってるのはそれ1枚ぐらいだった。
私はそれらを事務の方に返して、心臓がバクバクするのを抑えて事務室を出た。
見てはいけないものを見てしまった。
見なければ不安になったりはしなくて済むと思っていたのに、ああいうのを見ると自然に不安がこみ上げる。
「あ、乙川さん」
廊下で向かいから歩いて来た光一さんが私に声をかける。
長期海外出張から帰った彼は明らかに痩せていて、日々の生活がとてもつらいんだというのは分かっていた。
「はい、どうしました?」
「ちょっとワークステーションが不安定だから、しばらく触らないでくれる?他にやる仕事なかったら、今日は帰っていいから」
「……そうですか。分かりました」
あまりにも事務的でそっけない内容の話しだった。
社内では当然こういう会話になるんだけど、週末も会えない日々が続いていた。