抹茶モンブラン

「鈴音……もっと強く抱きしめて」

 私の肩に顔を埋めて、光一さんの声が微かに震える。

「こうですか?」

 自分の力なんかたかが知れてるんだけれど、なるべく彼が安心するように深く彼を抱きかかえる。

 すると、彼も我慢の糸が切れたみたいに、私を強く抱きしめ返してきた。

「光一さん……苦しいです……」

 あまりの強い抱擁に、息が出来ないかと思うぐらいだった。

「本当は毎日こうやって君を抱きしめていたい」
「……」
「愛が伝わる道具はどこにも無くて、こうやってダイレクトに君を抱きしめる時しか安らげなくなってる……胸が苦しいんだ。どうしたら鈴音を失わないでいられるんだろう……」

 そう言った彼の顔は見えなかったけれど、苦しくて仕方ないんだという気持ちが嫌というほど伝わってきて、私の心も一緒に切なくなった。
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