抹茶モンブラン
何が不満だったんだろう。
何度聞いても、「鈴音は悪くない」とだけしか言ってもらえなかった。
落ち度が無いのに、大好きな夫を知らない女性に奪われた。
私の敗北感は大学受験に失敗した時より強く、猛烈に自分をみじめにした。
直接対話するのが嫌なら弁護士を立ててもいいと言われたけど、私はもう無条件で彼と離婚する事に同意した。
当然両親も友人も「そんな不当な別れは無いだろう!」と怒りをあらわにしていたけど、私はそういう怒りすら沸いてこなくて、とにかく自分には愛情を感じられないという彼と別の生活をする事を選んだ。
お金っていうレベルで片付けられるような問題じゃなくて、私の人間への信頼感みたいなものが、粉々に音を立てて崩れ去った。
悲しいことに、彼はスーパーで会ってしまうほど近くに住んでいる。
もっと遠い場所に引っ越したかったんだけれど、住宅事情と奇跡的に拾ってもらった会社の近くに住むには、今の場所で暮らすしかなかった。
1年会う事は無かった。
彼が私と離婚して半年ぐらいしてから再婚したという事は友人からの情報で知っていた。
それでも直接その人を見なかった事で、私は自分の中に芽生える黒い嫉妬を押さえ込んできた。
涙も流さなかったし、終始冷静で、その冷静さを見て前夫は「お前は本当に強いよな」と言った。
何度聞いても、「鈴音は悪くない」とだけしか言ってもらえなかった。
落ち度が無いのに、大好きな夫を知らない女性に奪われた。
私の敗北感は大学受験に失敗した時より強く、猛烈に自分をみじめにした。
直接対話するのが嫌なら弁護士を立ててもいいと言われたけど、私はもう無条件で彼と離婚する事に同意した。
当然両親も友人も「そんな不当な別れは無いだろう!」と怒りをあらわにしていたけど、私はそういう怒りすら沸いてこなくて、とにかく自分には愛情を感じられないという彼と別の生活をする事を選んだ。
お金っていうレベルで片付けられるような問題じゃなくて、私の人間への信頼感みたいなものが、粉々に音を立てて崩れ去った。
悲しいことに、彼はスーパーで会ってしまうほど近くに住んでいる。
もっと遠い場所に引っ越したかったんだけれど、住宅事情と奇跡的に拾ってもらった会社の近くに住むには、今の場所で暮らすしかなかった。
1年会う事は無かった。
彼が私と離婚して半年ぐらいしてから再婚したという事は友人からの情報で知っていた。
それでも直接その人を見なかった事で、私は自分の中に芽生える黒い嫉妬を押さえ込んできた。
涙も流さなかったし、終始冷静で、その冷静さを見て前夫は「お前は本当に強いよな」と言った。