抹茶モンブラン
「光一さん?」
「光一だ。呼び捨てにして。鈴音が何でそんなに僕に距離を保つのか理解できないよ」

 語調が強くなり、鈴音を責めるような雰囲気は避けられない。

「怒ってるの?高田さんは別の部屋で寝てくれて……本当に何も……」
「分かってる!」

 思わず叫び声に近い声で僕は起き上がった。

「分かってるさ……あの男がそんな常識外れな事するなんて思ってない。でも、そういう事実よりも僕の今の心を静める方法はどこにあるんだ?」

 見下ろすと、真っ白な餅のような肌をした鈴音の上半身が見える。

 僕の……僕のものだ。
 この女性は、僕が命をかけても守りたい人なんだ。

「こ……光一……さん」

 僕が乱暴に鈴音の首筋に強くキスをしたら、痛がって彼女は体をよじった。

「何でだ、どうして僕と会えない時間に別の男との時間なんか過ごすんだ?」

 めちゃくちゃな理論だ。
 鈴音にだってまだまだ別の男を探す権利はある。
 僕と結婚したわけでもなく、確実な愛のしるしなんか何も無い。
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