抹茶モンブラン
 指輪とか、ペンダントとか……それなりに愛を表す道具はあるのを知っているけれど。
 僕にはそういうアイテムを使いたくないという変なポリシーがある。
 出来るなら結婚証明書とか、そういう紙切れにも頼らないでいられる確実な愛が欲しいと思っている。
 たとえ結末に結婚があったとしても、それは一つの通過点に過ぎなくて、その前から愛情っていうのは確実につながっているものであって欲しい。

 特に一度結婚の選択を間違ってしまった鈴音には、今度こそ確実な未来への道を歩いてもらいたい。
 その相手が僕であったら、いや、僕しかあり得ないと言って欲しいっていうのが正直なところだ。

 海外なんて遠いところへ行かないでくれと泣いてすがってくれてもいい。

 仕事ばかりで放ったらかしな気がするから寂しいと怒ってくれてもいい。

 鈴音にとって僕は離れられない存在なんだと証明して欲しい。
 僕は鈴音に夢中だという事を、嫌でも今から証明する事になるだろう。
 
 どんなに嫌がっても、彼女の体は解放してやらない。
 
 これは「愛」というより「愛憎」だ。
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