抹茶モンブラン
 愛の中に憎しみが混じっている。
 僕一人をしっかりと見てくれない鈴音に対する憎しみ……。
 どうしてこんな気持ちにさせるんだ。
 鈴音……悪魔なのは君か?それとも僕か?

 その境目すらボンヤリしていて、僕はただただ愛しい彼女の体をまさぐる。

「いや、痛い。やめて……!」

 悲痛な声を出す鈴音にかまわず、僕は悪魔が乗り移ったように彼女をめちゃくちゃに抱いた。

 愛してる……。
 愛してる。

 いや、こんなに苦しい感情が愛なはずないだろう。
 そうだ、やはりこれは憎しみなんだ。
 嫉妬という魔法にかけられ、愛は憎しみに変化する。

 涙に濡れた鈴音の顔がますます魅力的に見えて、唇を何度も塞ぎ、髪ももみくちゃだ。

「はあ……はあ」

 何度目かに果てた僕は、とうとう全身の力が抜けてしまい、鈴音の体に自分の体を重ねて目をつむった。

「ひどい……光一さん。こんなの全然愛じゃないわ」

 鈴音はそう言って泣いていた。

 僕の憎しみが、彼女の体を貫いていた。
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