抹茶モンブラン
「それが無理なら、せめてキスぐらいしてみれば。どうせ今の彼氏とは距離を空けてるんでしょ?バレなければ浮気にならないわよ。私ならそんな不安定な男と一緒に暮らすなんてやっぱりあり得ないなあって思っちゃう」

 ものすごく素直な意見だった。

 ずっと先の生活を思う時、私が満足して暮らせるのは光一さんだろうか、高田さんだろうか……と考える。
 何を満足と言うのかによるけれど、私は自分を手放したくないと抱きしめていてくれる人の傍にいたい。
 馴れ合いによっていつでも離れられるような薄い愛の中では生きていたくないと思ってしまう。

 そう思うと、多少束縛感のある光一さんだけど、あの人は仕事も手放さない状態で私を狂愛とも言える感情で求め続けてくれそうな気がする。
 そして、うずくまって泣いている少年のような彼の心にずっと寄り添っていてあげたいと思ってしまう。

「はあ。鈴音って本当に計算低い女だよね」

 計算高いというのは聞いた事があるけど、計算低いっていうのは初耳だ。
久美の造語らしいけど。

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