抹茶モンブラン
――――― ピンポーン

「光一さん!」

 玄関のチャイムが鳴ると同時に私はドアを開けた。

「鈴音、どうしたんだ……部屋に明かりもつけないで」

 私が真っ暗な部屋から飛び出したから、光一さんは驚いていた。

「どうして?」

 ドアが閉まるなり、私は強めの口調でそう詰め寄った。

「え、何が?」
「どうして鮎川さんと海ほたるになんか行くのよ。私との思い出の場所でしょう?」

 私が怒る様子に、光一さんは驚いている。

「あそこは私達にとって特別な場所でしょ?どうして……どうして他の女性を連れて行ったりするの。会えない日に異性と会うなんてって責めたの光一さんでしょう?あなただって同じ事してるじゃない!」

 私は泣きながら玄関先で立ったままの彼を責めた。
 胸をたたいた反動で、彼の背中が軽くドアに押し付けられている。

 光一さんは私の言動を止めようとせず、黙って全てを吐き出すのを待っていてくれた。

 こんなに感情的になったのは、海ほたるへ向かった車の中以来だ。
 そう、私は俊哉にも見せてなかった姿を最初から光一さんに見せていた。

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