抹茶モンブラン
「……落ち着いた?」
一通り彼を責めて、泣くだけ泣いた頃、光一さんは私の肩を優しくつかんで自分の腕の中に抱きかかえた。
外気に当たってヒヤッとした彼のスーツ。
でも何故かホッと心が暖かくなる。
「僕はずっと、こうやって鈴音に本音で迫って欲しかったのかな……。君にも僕が他の女性に心を移してしまわないかって心配して欲しかった。ちょっと口に出せそうもない注文だったから、言えずにいたんだけど」
「……ずるい。私がこんなふうに取り乱すまで、ずっと待ってるつもりだったの?」
まだ涙が乾ききらない目を拭って、光一さんを見上げる。
「まさか。海ほたるに行った事は言い訳しようがないけど、紗枝と行ったのは昼だったし。君との思い出は夜の海ほたるさ。同じようだけど、僕の中では全然違うんだ、昼と夜っていうのは……」
困った表情で彼は、自分の頭に手をあててそう言った。
彼なりにちゃんと私との思い出の事は考えてくれていたようなのが分かって、私の中でもようやく少し納得いく言い訳を聞けた気がした。
やっと冷静な自分に戻って、光一さんの言い訳も聞かずに責めたことを恥ずかしく思った。
私も光一さんをどうこう言える立場じゃない……こんなにも弱い人間だ。
一通り彼を責めて、泣くだけ泣いた頃、光一さんは私の肩を優しくつかんで自分の腕の中に抱きかかえた。
外気に当たってヒヤッとした彼のスーツ。
でも何故かホッと心が暖かくなる。
「僕はずっと、こうやって鈴音に本音で迫って欲しかったのかな……。君にも僕が他の女性に心を移してしまわないかって心配して欲しかった。ちょっと口に出せそうもない注文だったから、言えずにいたんだけど」
「……ずるい。私がこんなふうに取り乱すまで、ずっと待ってるつもりだったの?」
まだ涙が乾ききらない目を拭って、光一さんを見上げる。
「まさか。海ほたるに行った事は言い訳しようがないけど、紗枝と行ったのは昼だったし。君との思い出は夜の海ほたるさ。同じようだけど、僕の中では全然違うんだ、昼と夜っていうのは……」
困った表情で彼は、自分の頭に手をあててそう言った。
彼なりにちゃんと私との思い出の事は考えてくれていたようなのが分かって、私の中でもようやく少し納得いく言い訳を聞けた気がした。
やっと冷静な自分に戻って、光一さんの言い訳も聞かずに責めたことを恥ずかしく思った。
私も光一さんをどうこう言える立場じゃない……こんなにも弱い人間だ。