抹茶モンブラン
(彼女が自分に恋愛感情があるっていうところには気付いていないのかしら……)
不思議に思って黙っていると、光一さんはさらに言葉を続けた。
「紗枝には鈴音は恋人だって言ってある。ただ、仕事上では割り切っているし、職場では特にそういうのを意識しないで欲しいとも言った。あの子、何か鈴音に別のニュアンスで話したの?」
やっぱり……この人、ちょっと鈍感なんだ。
鮎川さんは光一さんにとって大事な親友の形見。
でも、鮎川さんにとって光一さんは大切な異性。大好きな異性。
誰もがどこか不器用で、スマートに心を通じ合わせられない。
私は、大人になっても恋愛っていうのはいつでもぎこちないものなんだな……なんて思った。
「いいの、光一さんの心さえ確認できれば。私はそれでいいの」
彼の肩にもたれかかり、私は久しぶりに安らかな気持ちになっていた。
「鈴音……台所に電気ついてるけど」
しばらくして、部屋が暖まってきた頃……ふと気付いたように光一さんがそう言った。
「あ、いけない。お料理作りかけで放ってあったんだ」
私は慌てて立ち上がり、それを片付けようとした。
すると、光一さんはその手を止めて「何作ろうとしてたの?」と聞いた。
「何かな……ボウッとしてたから。でも、この刻んだ野菜を考えたらお肉を加えてカレーにするのが早いかもしれない」
適当にきざんだたまねぎとニンジンを見て、私はそう答えた。
不思議に思って黙っていると、光一さんはさらに言葉を続けた。
「紗枝には鈴音は恋人だって言ってある。ただ、仕事上では割り切っているし、職場では特にそういうのを意識しないで欲しいとも言った。あの子、何か鈴音に別のニュアンスで話したの?」
やっぱり……この人、ちょっと鈍感なんだ。
鮎川さんは光一さんにとって大事な親友の形見。
でも、鮎川さんにとって光一さんは大切な異性。大好きな異性。
誰もがどこか不器用で、スマートに心を通じ合わせられない。
私は、大人になっても恋愛っていうのはいつでもぎこちないものなんだな……なんて思った。
「いいの、光一さんの心さえ確認できれば。私はそれでいいの」
彼の肩にもたれかかり、私は久しぶりに安らかな気持ちになっていた。
「鈴音……台所に電気ついてるけど」
しばらくして、部屋が暖まってきた頃……ふと気付いたように光一さんがそう言った。
「あ、いけない。お料理作りかけで放ってあったんだ」
私は慌てて立ち上がり、それを片付けようとした。
すると、光一さんはその手を止めて「何作ろうとしてたの?」と聞いた。
「何かな……ボウッとしてたから。でも、この刻んだ野菜を考えたらお肉を加えてカレーにするのが早いかもしれない」
適当にきざんだたまねぎとニンジンを見て、私はそう答えた。