抹茶モンブラン
5章
1.つかの間の幸せ
田舎の両親が唐突に「鈴音、お見合いしなさい」と言ってきた。
私が東京で暮らしているのをあまり良く思ってなくて、早く故郷の秋田へ戻れというのが本心らしかった。
「私にだって仕事とか色々都合があるのよ。お見合いなんかして駄目だったらそっちだってきまりが悪いでしょう?」
恋人がいる事は言わず、私はそう言って何とかこの話を誤魔化そうとした。
光一さんは立派な人だけど、両親に会わせたら、東京で仕事にまみれた男は駄目だと言う予感がある。彼らの条件は、秋田に戻って一緒に暮らすか、近くに住むかという選択肢しかない。
前の結婚で駄目になってからというもの、とにかく私一人をこっちに住まわせるのは心配だというのが口癖になっている。
「心配かけて申し訳ないと思ってるけど、ちゃんと仕事にも就けたし。大丈夫だから」
「そんなこと言って、また変な男にひっかかるんじゃないかってこっちはヒヤヒヤしてるんだから。出戻りのあんたをもらってくれようって言ってくれる人がいるだけでもありがたいでしょう」
娘をそんな不良品扱いするなんて、親といえども腹が立つ。
私はとりあえずその話は受けられないとだけ強く言って、電話を切った。
母の事だから、きっとしつこく電話で説得してくるに違いない。
私が東京で暮らしているのをあまり良く思ってなくて、早く故郷の秋田へ戻れというのが本心らしかった。
「私にだって仕事とか色々都合があるのよ。お見合いなんかして駄目だったらそっちだってきまりが悪いでしょう?」
恋人がいる事は言わず、私はそう言って何とかこの話を誤魔化そうとした。
光一さんは立派な人だけど、両親に会わせたら、東京で仕事にまみれた男は駄目だと言う予感がある。彼らの条件は、秋田に戻って一緒に暮らすか、近くに住むかという選択肢しかない。
前の結婚で駄目になってからというもの、とにかく私一人をこっちに住まわせるのは心配だというのが口癖になっている。
「心配かけて申し訳ないと思ってるけど、ちゃんと仕事にも就けたし。大丈夫だから」
「そんなこと言って、また変な男にひっかかるんじゃないかってこっちはヒヤヒヤしてるんだから。出戻りのあんたをもらってくれようって言ってくれる人がいるだけでもありがたいでしょう」
娘をそんな不良品扱いするなんて、親といえども腹が立つ。
私はとりあえずその話は受けられないとだけ強く言って、電話を切った。
母の事だから、きっとしつこく電話で説得してくるに違いない。