抹茶モンブラン
 鮎川の遺影が僕に語っていた。

『お前しかいないんだ。紗枝を支えてやってくれ……頼む』

 そういう鮎川の心を感じ取り、僕は紗枝の前に座って優しく声をかけた。

「紗枝、僕を鮎川の代わりだと思っていいから。何でも相談して。僕は東京に戻ってしまうけど、いつでも連絡してくれていいから」

 そう言ってやると、今まで涙も出せない状態だった彼女がとうとう大声で泣き出した。

「堤さん……私、独りは怖い。独りは寂しい」

「大丈夫、独りじゃない。それに、きっと未来には僕や鮎川以上に君を愛する人が現れる。その時まで、僕を頼ってくれていいから」

「はい……ありがとう。ありがとうございます」

 こうして、鮎川への友情の証として紗枝を見守っていこうと決心した。
 だから、僕が紗枝の為に必死になるのは亡くなった鮎川への厚い友情の証なんだ。
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