抹茶モンブラン
 食事が終わって、私達は典型的な「若いお二人でどうぞ会話を楽しんで」というシチュエーションに持ち込まれ、その料亭にポツンと残された。
 小山内さんは、それほど二人の空間に緊張している様子は無くて「あ、タバコいいですか?」なんて聞いた。

「どうぞ」

 光一さんは神経質なほどタバコ嫌いだったから、小山内さんのちょっと大雑把な仕草や人好きする笑顔なんかは彼とは逆だなと思ったりした。
 高田さんともちょっと違う。
 高田さんは明るいけれど、折り目正しい真面目な人だ。
 でも、小山内さんはもっとそういうのを崩した感じが見える。
 なんていうか……冷めてるっていうのとも違うけど、どこか人生を達観してしまっているような。
 そういう感じがした。

「鈴音さん、正直俺との縁談ってどうでもいい気持ちで来たんでしょう?」
「え!?」

 唐突に図星をさされ、私は思わず動揺を顔に出してしまった。
 すると小山内さんはタバコの煙をフーッと吐いた後、ニッコリ笑った。

「俺、人の表情を読む天才なんです。だから会社でも成績は悪くない方ですよ?」

 冗談っぽくそう言って、彼は私が真面目にお見合いをする気じゃなかった事は責めなかった。

「人って生きてると色々ありますよね。俺も実は3ヶ月前に彼女にふられたばかりなんです。その後速攻、親が見合いしろって言ってきて。最初はそんな気になるかよって思いましたけど、鈴音さんの写真を見たら何か会ってみたくなったんです」

 真面目な顔でそんな事を言うから、私は思わず笑ってしまった。
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